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第570話
「今日はデートしながらが良いか?」
「正宗さんと一緒ならどちらでも」
真っ直ぐ帰宅するか、デートがてら遠回りをして帰宅するかは毎回悩む。
結局のところ、三条は長岡と一緒ならどちらでも構わない。
だって、長岡と一緒ならなんでも嬉しい。
にこにこと屈託ない笑顔でそう言えば、毎回それだなと返ってきた。
「ちょっと遠回りして遥登とデートしてぇけど、遥登の事1人占めもしてぇんだよなぁ」
長岡は肉付きの悪い頬を挟むと、僅かな肉をむにむにと揉んだ。
「車から降りないじゃないですか」
「そうなんだけどな。
でも、外じゃあんまキス出来ねぇし」
ちゅぅっと唇にキスをされ、ぽわっと空気を色付ける三条はゆっくりと尻尾を振りだした。
「…じゃあ、普通に帰ります?」
「んー、どうすっかな」
また、ちゅぅっとキスをされ顔にかかる髪が擽ったくて笑う。
こんな近くて大好きな人が笑っていてくれるしあわせに三条の表情筋はゆるゆるだ。
だけど、それが、とてもよく似合う。
「可愛い顔して」
それは長岡の方だ。
そんな格好良い顔をされたらたまらない。
綺麗な目を細めたかと思えば、唇をぺろっと舐められた。
薄く口を開けると舌が入ってきて上顎を擽る。
それから舌をなぞり、先を甘く噛まれた。
溶けてしまいそうに気持ちが良い。
「帰りたく、なくなります…」
「んー、返したくねぇけど今日は帰す。
帰すから、もう少しだけ」
腰を抱く大きな手にすべてを委ねてしまいたい。
長岡と付き合ってから我が儘になってしまった。
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