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第581話

仕事に対してあまりネガティブな言葉を使いたくはないが、 糞が付く程忙しい。 だけど、生徒が健康でさえいてくれればそんな事はどうでも良い。 パソコン画面に言葉を並べながら頭では他の事を考える。 どうしたら効率が良いか。 なにをしたら早く手が空くか。 少しでも早く終わらせて、次の仕事にも手を付けたい。 優先は生徒の事。 今は自分の事など二の次だ。 そんな事で生徒が安全になれるなら構わないだろ。 とにかく、どんな通達がきても大丈夫な様に準備だけはしておかなくては。 「長岡先生、印刷室行きますけど何か刷るのありますか」 「あ、すみません。 じゃあ、これお願いします。 1学年分です」 「わかりました。 行ってきます」 出来た分の課題を手渡すと行ってきますと同輩は印刷室へ行ったが、他の科も同じ様にプリントを製作して混雑しているだろう。 次の印刷は自分が行こう。 古典から離れられなかっただけの筈だっ た。 それが、少しだけ変わった。 あの子のお陰だろう。 だからと言うのはおかしいが、古典だけじゃなく生徒達にもきちんと向き合いたい。 そうでなければいけないと思うから。 きちんと受け取ってくれる生徒がいると知れたからだ。 視線を少し上げると、満面の笑みが咲き乱れている。 その中央の飛び出た頭に活力を貰う。 こんな世情でも、大切な恋人の笑顔はとても明るい。

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