『こっちでも感染者出ちまったし、弟に移ると大変だから部屋には来んな』 じゃあ、いつまでだ。 いつになったら会えるんだ。 これから入試や採寸で人の出入りが多くなる。 そんな人に塗れる自分と会うのはリスキーだ。 乳幼児のいる三条の家庭にそんなリスクを近付けたくない。 頭ではわかっているのに、 メッセージアプリの送信ボタンを押す手が止まる。 「はぁ…」 長いため息を吐ききるとソファに沈み、ぼーっと空を眺めた。 恋人のいない部屋は広くて寒い。 だけど、それで健康が守られるなら利口になるべきなんだ。 不安にさせたい訳じゃない。 会いてぇけどな ファイルの奥から笑顔の写真を開き眺めるしか出来ない。 美味そうに握り飯を頬張る三条 気持ち良さそうに眠る三条 楽しそうに笑う三条 いやらしい顔をする三条 家族になにかあればとてと悲しそうな顔をするなんて簡単に想像できる。 そんな顔をさせたい訳じゃない。 また1つため息を吐くと、 目を閉じた。