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第588話
漸く金曜だ。
今週は色んな事があってあっという間だった。
これで暫く生徒達とは会えない。
休校中の課題をとにかく作った。
1日、1日で目まぐるしく現状は変わる。
大人に振り回される子供は大変だ。
だが、それで命が守られるのであればそれが1番良いはず。
また元気な姿が見られるのならそれが良い。
教科準備室の電気を消すと真っ暗になる。
廊下も電気が点いておらず薄暗い。
最後なので施錠もする。
教室は真っ暗。
校舎には教員が数人残っているだけだ。
こうして自分達が働く為に子供達から楽しい事を奪ってしまうのか考えると申し訳ない。
遥登も来ねぇし、明日はアラームかけずに寝るか
こんな時だ、体調整えといてなんぼだろ
なんて、どんな栄養剤より元気になるのは恋人の笑顔なのだが。
階段を降り、職員室前のロッカーからを取り出す。
微かに恋人のにおいがする気がした。
そんな筈はないが、部屋に混ざる恋人のにおいがするのだろうか。
それとも、それほど恋しいのか。
それに腕を通す事なく靴を履き替え、足早に駐車場を目指した。
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