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第584話
「ただいまー」
雨で湿ったスニーカーを脱いでいると、リビングから母と綾登の声が聞こえてきた。
もう起きたのか…って、今日は買い物をしてきたからもう起きる時間は過ぎているのか。
ドアを開けるとくりくりした目と目があった。
「あー!」
指を指しながらとびきり嬉しそうな顔で笑う弟。
それはもう、すごく可愛い。
でも、先ずは手洗いうがいだ。
「ただいま。
手洗ってくるから待っててな」
「ぶー、う!」
寝間着のままの綾登はご機嫌で、きっと今日も良い日になる。
綾登を見ているとそう思う。
この子が笑って過ごせる日はとても良い日だと。
母親とご機嫌で教育テレビを観ながら良い子に待ってくれている内に戻って来なければ。
おしりを高くあげて立とうとする末息子を見守る母親の後ろを通って炊事場へ。
「うっ!あ!」
「楽しいねぇ」
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