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第594話
長岡と会えなくなって1週間。
優登や綾登と過ごすと1日はあっという間に過ぎていく。
だけど土日も長岡には会えない。
それが、なんだか曜日感覚を狂わせる。
「だっ、だっ」
ブランケットの上でボールで遊ぶ三男の後ろであたたかいお茶を飲んでいると、隣に次男がやって来た。
「このまま春休みだって。
急過ぎて意味わかんねぇ…」
「俺は優登が元気ならそれが1番だ」
いくら本音を言おうが、当人達の我慢の理由になんてならない。
楽しい時間がいきなりなくなったんだ。
悄気て、落ち込んで、混乱して当たり前だ。
だけど、優登には笑った顔でいて欲しい。
その顔がうんと似合う。
「それに、焼き立てのお菓子も食えるし」
「そんなん、いくらだって作るし」
「じゃあ、マフィン食いたいな。
チョコのとこの前作ってた抹茶のやつ美味かった」
「甘納豆の?」
「そう。
すげぇ美味かったなぁ」
はにかんだ弟に、いつもの顔で笑いかけた。
なるべくいつも通りでいて欲しい。
「後で材料買いに行こうな。
あと綾登のミルクも買わないと。
頼まれてるんだ」
「うんっ」
呼んだ?と見上げてきた綾登のぷくぷくの頬を両手で挟みながら、漸く元気を取り戻した優登と構って遊んだ。
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