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第597話

2人で食べていると、昼寝の寝かし付けから戻ってきた母親が部屋いっぱいに広がる甘いにおいに台所を覗いてきた。 「母さんも食べる…?」 「良いの? ありがとう」 頷く次男は、どっち?とチョコレートと抹茶、2つのマフィンを差し出す。 どちらも美味そうで母は少し迷っている。 その間に冷蔵庫から取り出した麦茶を適当なグラスに注ぎ渡すと兄弟とよく似た笑顔で受け取った。 結局抹茶味を選び、母はフォークを手にダイニングテーブルへ。 いただきますと手を合わせてあたたかいそれにフォークを突き刺す。 「優登、美味しい」 「うん…良かった」 思春期真っ只中の次男は複雑そうに、だけど嬉しそうにそう頷いた。 それを三条は隣でにこにと眺める。 反抗期、可愛いよな 「チョコも食べれば」 「良いの? 嬉しい。 じゃあ、明日食べるね」 にやにやしてしまうのを抑えながらまた齧り付いたマフィンはとても美味しい。

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