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第602話
泣きながら笑う三条は全然追い付けてないですなんて言うが、あと少し手を伸ばせば肩を捕まえる。
もうそんな距離にいると思う。
そりゃ、実習をこなして試験を受け合格しなければ教員免許は貰えない。
だけど、三条はその名前に込められた希望通り沢山の芽を息吹かせ伸ばしている。
武器になっている。
追い付かれるのは時間の問題だ。
その時を楽しみにしてるが、もう少しだけ背中を見ていてくれ。
A組が叩いてくれた背中なんだ。
不格好で格好良いだろ
覚えていてくれ。
冷たい手で頬を濡らす涙を拭うと、恥ずかしそうに笑った。
よく笑う子だ。
笑った顔がよく似合う。
なぁ、そこに奉られている神様。
あんたは、この関係を友愛だと言うけどそれを決めるのは俺達だ。
あんたじゃねぇ。
今から、この神聖な神社でキスするからな。
友愛か最愛かきちんと判断しろ。
見せびらかしてやるから、しっかり見とけ。
「ん…」
しょっぱいキスに三条は顔を真っ赤にして、今度は恥ずかしそうに笑った。
おい、あんたには遥登にこんな顔させらんねぇだろ
悔しかったら遥登にうんとしあわせ運んでこい
なんて大人げない。
無信仰なせいと本来の性格でロは悪いが、願う事は恋人のしあわせ。
ただ、1つ。
ベタ惚れで溺愛している恋人の事となると目に見えないものにすら敵意を剥き出すが、目に見えないものの方が大切だったりもするだろ。
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