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第603話

涙で濡れた頬を指で拭い、また唇を触れ合わせる。 それだけで、こんなにしあわせな気持ちになれるんだから三条の存在はとても大きい。 なぁ、本当にこれは恋慕じゃないのか。 …いや、そんなのどうだって良い。 これが恋慕じゃないと言われても、俺は遥登を愛してる。 それは、なんも変わりはしねぇ。 誰かの意見はどうだって良い。 誰かの正義なんて糞食らえだ。 そんなもんで揺らぐ様な事はねぇ。 変わったりしねぇ。 大切なのは、遥登だ。 最愛は、遥登しかいねぇんだ。 男でも女でもそうじゃなくともどっちでも、俺が、遥登以外無理なんだ。 こんな愛おしい子、手離せる訳がねぇだろ。 キスをしながら髪を梳いていると服を掴み三条からも唇を押し付けてきた。 微かに塩味を感じるのは三条の涙の味。 こんなに満たされるのは遥登が“遥登”だから。 この地で両親と兄弟に愛されのびのびと育ちおおらかに育ってくれた恋人だからこそだ。 どうだ、羨ましいだろ

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