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第612話

今日の晩飯は、筍の混ぜ込まれたメンチカツと春キャベツのサラダ、わかめと筍の味噌汁に山菜の小鉢。 里芋の煮こっころがしも照りっていて美味しそう。 「まーぅ、まー」 綾登のお気に入りは茶碗蒸し。 やっぱり出汁の効いたのが好きなんだな。 野菜の餡をかけて緩く作られたそれをスプーンで掬って半分溢しながら口にした。 溢したと言っても随分と上手になった。 たった1年でスプーンを使って自分で食事が出来るんだからすごい。 「んー!」 「美味しそうな顔して。 美月ちゃんのご飯美味しいな」 「うへへっ」 筍のごろごろ入ったメンチカツにも春キャベツが入っていて美味しい。 ジュワッと溢れる肉汁が口いっぱいに拡がって白飯が進む。 隣で同じ様に頬袋を膨らませる次男も、食事中は素直な顔をしていた。 反抗期って可愛いなと思う。 優登を見ていると素直になりきれない、だけど悪くなれないのはしんどそうだが、長い人生の中のほんの一瞬のホルモンバランスの変化をしっかり見ていたい。 可愛い弟の立派な成長だから。 「でっけぇ口」 「まー」 「美味い?」 「うへぇへへへ」 楽しそうに食事をする兄弟を父も母も嬉しそうにみている。

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