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第613話
夕食を食べ終え、ソファの上に横になってスマホを弄る。
長岡は食事を済ませただろうか。
いや、そもそも帰ってきているだろうか。
休校が決定してからも新学期に向け忙しそうにしている。
ちゃんと休めているだろうか。
連絡してみようかな
でも、最近帰り遅いんだよな
なんかあったのかって気にするかもだし、もう少し時間おいた方が良いか
「うー」
「うん?
どうした」
よじ登ろうとする三男の脇に腕を差し込み持ち上げると、服にご飯粒がついている。
それを取りながらスマホを机に置いた。
身体を伸ばすのが面白いのかご機嫌だ。
綾登が笑っていてくれると嬉しい。
長岡も守ってくれている笑顔だからか尚更だ。
腹の上でふんふんっと身体を揺らし出した。
「綾登、俺ちょっと腹いっぱい食っちゃったから、それされるとヤバい…」
「へへぇ」
「綾登…。
本当にヤバいって…。
ほら、脚の上おいで」
半身を起こしながら腹の上から脚の間に閉じこめ抱き締めた。
ちっちゃくてやわらかくてあったかい。
腕の中から楽しそうな声が聞こえてくるのが嬉しい。
「うぇへへっ」
「ん?
またご飯粒ついてる」
どこに付いているのか手にくっ付いたそれをティッシュにくるんでゴミ箱に投げようとすると、それを取り上げられた。
綾登と一緒に上を見上げると優登がマグを両手に立っている。
「兄ちゃん、お茶持ってきた。
これは俺が捨てるから貸して」
「ありがとう」
「怪獣も麦茶飲むか?」
「ぶーっ」
「溢すなよ」
優登はさも当たり前の様に隣に座りゲームを起動させはじめた。
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