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第614話
優登のゲームプレーを綾登と応援しつつ遊んで兄弟との時間を過ごす。
中学校が休みになり1日中こうして3人でテレビの前を陣取り過ごしているが、楽しくて穏やかに時間が過ぎていくのが嬉しい。
こんな時だからこそ、普通の生活がしたい。
洗い物を終えた父が
「綾登、父さんと風呂はいってくれるか」
「んー」
「おいで。
先にお風呂入れば寝るまでずっと遊べるぞ」
「んーんー」
兄にベッタリの三男はひしっと抱き付き離れようとしない。
手を広げ待っている父にとってこれもいつもの事。
それも、10年前も同じ様な事があったのだから。
それを次男はちらりと見るとにやっと笑った。
「じゃあ、俺が先に風呂に入ってずっと兄ちゃんといよっかな。
寝るまでずーっと」
くりくりした目で2人の兄を見上げると、嫌そうな顔をして顔をくしゃりとつぶした。
ひょいと持ち上げられた綾登は脚をバタバタさせるが父親の力には敵わず、胸に抱き止められてしまう。
「ほんと、優登そっくりだな」
「ふふ、元は貴方でしょ」
「美月ちゃん…、俺あんななの?」
「あんなって俺に失礼だろ」
「ぶーっ」
家族の楽しい会話に、三条は漸くいつもの調子で笑い出した。
必死に兄に手を伸ばす弟も、反抗期で膨れている弟も、相変わらずの両親も、三条の大切な家族。
今日も何事もなく過ぎて良かったと。
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