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第615話

授業開始日が変更になった。 勉強をしたくて入学したはずなのに、勉強があまり出来ていない状況も続いている。 それに、授業が再開されれば長岡に会えると思っていただけに寂しさが隠しきれない。 20日まで延期か 夏休み減んのは構わないけど、会えない方がキツいかも 高校時代毎日会っていたのが、大学に進学して土日祝日に減り、この3月会えたのは数回のみ。 贅沢に慣れると前に生活には戻れないと言うが、まさにそれだ。 長岡から借りたコートが持ち主の部屋へ帰りたそうにしている。 まだ濃く残るかおり。 私服用の物のせいか、香水のにおいもする。 恋人のにおいだ。 返しに来たって言えば会ってくれそうだ けど、困らせたい訳じゃねぇしな ハンガーから外し抱き締めながらベットに寝転ぶと、腕枕をされながら眠った日々が恋しくなる。 “当たり前”だった日常はあっという間に崩れてしまった。 大切な日常だったのに。 やっと、日常になった日々だったのに。 正宗さんと夢で良いから会いたいな コートを抱える様に丸くなると目を閉じた。

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