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第617話

アラーム音に手を伸ばしなんとか止めると、大きな欠伸を1つした。 ついさっき寝付けた様な気がしてまだ寝足りない。 だが、仕事に行かなければならない。 いくら学生は休校中と言っても職員には関係のない話だ。 寧ろ、これからの事を見据え動いているせいで例年より忙しい。 あー…、もう朝か ベットから身体起こすと邪魔な髪を後ろに撫で付ける。 髪も伸びた。 色も抜けてきた。 清潔感は大切なのでそろそろ散髪をしなければ。 だけど、三条は少し長い位が格好良いと言ってくれる。 いや、短くした時も格好良いと褒めてくれる。 次はどうしようか。 いつ会えるかも分からないが、その時にだらしない格好では失礼だ。 やっぱいつもの色か こんな時だから少し明るくしたい気もあるけど、そうもいかねぇしな 気分転換に少し色味を変えようか悩むところ。 カーテンを全開にしてどんよりとした空を仰ぐ。 雲は多いが、午後からは晴れると昨夜のニュースで言っていた。 だが、そう良いことばかりを言っている訳ではない。 点けたニュース番組は今日も不穏な事を言っている。 なんでだろうな。 悪意ばかりを滲ませ不安を煽る。 巻き込まれる子供達の事なんてどうでも良いかの様に。 んなもん朝から観てたら疲れる よく喋ってられんな 消そうとも考えたが、ある程度の時間を把握するには便利なのだ。 遥登は、大丈夫か こんなニュースばっかじゃストレスヤバそうだな 人の言葉の裏を読んでしまう感受性が心配だ。 豊か過ぎる心は他人の事で潰れてしまうのではないかとこわくなる。 三条を傷付けるなら自分が良いと身勝手な事を思う程に大切だ。 伏せられた2つのマグカップは使って欲しそうにそこにある。

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