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第618話

ベッドの上で長岡のコートを抱き締めながら本を読んでいると、不意に下半身に熱を感じた。 ……勃つなよ 恋人のにおいに反応したのか、ただの整理現象なのか怪しい所だ。 溜まる熱を吐き出してはいるが、上手く処理しきれていない。 そんな感じがずっと感じている。 そもそも、長岡に抱かれる事に慣れたこの身体は陰茎の刺激よりアナルでの刺激を求めてしまう。 今みたいに勃起してしまった時も陰茎を擦りつつアナルに触れてしまうのを止められない。 単行本を枕元に置き、ドアが完全に閉まっている事を黙視した。 …正宗さん、ごめんなさい 長岡のコートに顔を埋めたままそろそろと下着の中から頭を擡げたソレを取り出し扱いていく。 ま、さむねさん…、 頭の中で長岡が意地悪げに笑う。 こんなはしたない行為を見て、にやにやと見下ろされる。 『やぁらし』 …ごめん、なさい 『良いよ。 遥登の気持ち良さそうな顔、えろくてたまんねぇ』 み、ないで…… 『見せろって』 みて、ほしい… 頬を撫でる冷たい手。 『良い子だ。 イくとこ、見せて』 「…っ…、……ッ…」 ティッシュに手を伸ばし二枚、三枚と引き抜く。 コートから顔を離す事なく、そこに欲を吐き出した。 じわっと湿るティッシュに頭はどんどん覚めていく。 ……や、ちゃった 途端にやってくる賢者タイム。 長岡で抜いてしまった罪悪感が酷く襲う。 コートのにおいで…とか変態だ あ、やば…っ 汚してないよな 急いで確認するもシミは1つも付いていない。 安堵しながら汚れたら手をティッシュで拭い、ぽいっとベッドの上からゴミ箱へと投げた。

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