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第641話
ふとんに入ると、良いにおいが身を包んだ。
昼間スプレーしたファブリックミストのにおいだ。
すげぇ良いにおい
今日は気持ち良く寝れそう
兄に似てきゅっと上がった口端はゆるゆるだ。
自宅の洗濯洗剤のにおいも良いが、これも気持ちの良いにおいがする。
『そうだ、これ良かったらどうぞ』
あれ?
今…誰か思い浮かんだけど、誰だ…?
頭の隅で誰かが話しかけた。
相手は靄がかかった様に朧気だ。
あれは、どこで。
ほんとに誰だ…?
何処で…うん?
ごろんと寝返りを打って寝心地の良い場所を見付けると考えるのをやめた。
ま、良いや
寝よ
明日はチーズケーキ焼いてゲームして兄ちゃんの隣独占してやろ
誰か知らねぇけど羨ましがれ
兄が笑っていればそれで良い。
目を閉じるとすぐに気持ちの良い睡魔が頭を撫でた。
そのまま深い眠りへと落ちていく。
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