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第644話
きゅんっとしていて忘れそうになっていたが、今日は用事があって電話したんだと思い出した。
今なら声を聴きたかった、だけでも終わらせる事が出来る。
だけど、やっぱり…
「……あの」
『うん?』
優しい顔で首を傾げた恋人の前髪がさらさらと目にかかった。
綺麗なのにえっちぃ。
とまれ、ない。
「正宗さん、あの………………使い、ます」
通話口の向こうの空気が変わった。
『見せてくれんのか?』
改めて言われると、すごく恥ずかしい。
見せて、と言うか、見て欲しい。
使う時に連絡をくれると嬉しいと言っていた。
一応、使う事位連絡を…と自分を納得させたのはほんの数分前。
もう決意が揺らぎそうだ。
でも、言った。
見せてくれんのか?の質問にも頷いた。
見て欲しい。
全部、見て欲しい。
画面越しに目を見るとサディスティックな色が既に滲んでいた。
『じゃ、テレセクしようか』
テレホンセックス。
すごく変態くさい。
自慰を見せるだけの行為。
自慰を見て貰う為だけの行為。
三条は、ごくんと生唾を飲み込んだ。
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