649 / 1502

第649話

『つってもな、ローションなんてねぇだろ。 指舐めるか、せめてハンドクリーム』 「ぁ……」 田上に貰ったやつ 誕生日に貰った避妊具がクローゼットに入っている。 使用期限があるなんて聞いた事はない。 劣化は心配だが、必要なのはジェルで避妊に使う訳ではないし大丈夫だろう。 「ゴム、あります…」 『誰と使ったんだ』 「田上が、誕生日に……」 『あのクソガキ…。 俺より先に遥登にゴム触らせたのかよ』 クローゼットの奥に隠したそれを手探りで引っ張り出すと、長岡の綺麗な眉間に皺が寄っていた。 不機嫌そう……と言うか、なんとも言えない顔だ。 でも、それさえ格好良い。 綺麗な人は得だな。 すぐに手に取る事の出来たそれをカメラに晒すと、より一層皺が深くなった。 「あ、の…これ、です」 『味付きに極薄。 そもそも、ソレ遥登のサイズに合ってんのか?』 「サイズ……なんて、 図った事ないですけど…」 『遥登の膨張率良いからな。 元々のサイズもしっかりしてるし。 今度計ってやるよ』 ジェル付きの物はあるかと探すと、すぐに見付かった。 と言うか、田上はどうやって買ったんだろう。 やっぱりネット通販だろうか。 こんな物に金を使わなくても…と思っていたが、使う日がくるなんて思いもしなかった。 しかも、自分自信がだ。 外箱を開封するとパウチを数個取り出し残りは隅に追いやる。 また隠しておかなければ。

ともだちにシェアしよう!