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第660話

いまだケツの中で振動を続けるローターの電源を切ると、避妊具ごと引き抜く。 が、上手く抜けない。 奥が吸っているというか、まるで離したくないとばかりに奥へと入り込んでいる。 いくらコンドームで包んでいても、あまり強く引きすぎてコードが切れるのも怖い。 ゼリーの滑りも厄介だ。 「ん……」 『力み過ぎんな。 排泄ん時思い出せ』 それは……なんか出てはいけないモノまで出てしまいそうで…。 しかも、まだアナルで快感を得ていないせいか、もどかしさが勝ってしまう。 ぐるぐると余計な事ばかり考えてしまっては駄目だ。 今は抜く事をしっかりと考えなくては。 何時間も入れっぱなしは避けたいし、朝までなんてゼリーが乾いて抜くのが痛くなってしまう。 ローションなんて持っていないのだから尚更だ。 朝から薬局やコンビニに潤滑油を買いに行くなんて、とんでもない。 排泄…じゃなくて、腹に力を入れて括約筋を開く。 「…ん……ン……っ」 体内でぽこっと動く気配がすると、それは漸く動きはじめた。 まるで何かに嵌まっていたみたいに動かなかったそれを、ぬぐぐ…と手繰り寄せる事が出来る。 どこまでセックスに貪欲なんだと恥ずかしくなりながら、なんとか引き抜いた。 「っ、は……ぁ…」 なにもなくなった体内がほんの少し寂しい。 「……で、ました、」 『ほんと締まり良いよな。 ほら、俺の事は気にしなくて良いからケツ拭け。 精液乾くと痒くなんぞ』 「……はい」 とりあえず、ティッシュを敷いた上に玩具を置くとゼリーで濡れたアナルを拭いていく。 自室で臀部を曝け出し、局部を拭くなんて間抜けな姿だろう。 画面越しでも長岡の視線を痛い程感じる。 汚れたティッシュは丸めてゴミ箱に投げ捨てた。 これも後で口を縛って捨てる用意をしておかないと、においでバレてしまう。 男ってのはめんどくさい。

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