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第661話
長岡からの視線が痛くてそちらを見られない。
すっかり頭が冷め、先程までの羞恥心がさばわじわと襲ってくる。
なんともはしたない格好で股を拡げて自分でアナルに指を突っ込んで。
思い出すだけで恥ずかしい。
でも、気持ち良かった。
「あ、の…」
『ん?』
「ありがとうございました。
……お陰ですっきり、しました」
『そりゃ、良かった。
あ、名前呼ばれんの良いな。
すっげぇ興奮した。
またしような』
楽しそうに笑う長岡に肩の力が抜けていく。
長岡はいつだってそうだ。
三条が、気負わない様な言葉を選びをしてくれる。
それにどれ程助けられているか。
漸く見る事の出来た当の本人は、そんな事知りもせずウェットティッシュで手を拭いている。
飾らないその姿が好きだ。
「はい」
『手ぇ、洗ってこいよ。
カピカピすんぞ』
「正宗さんも洗ってください」
『俺も洗ってくるし。
通話は切んなよ。
もう少し話し相手になってくれ』
ほら。
優しい。
この優しさに溶かされる。
理性まで溶かされてしまうのはあれだか、でも、この人に甘やかされるのは好きだ。
とてもしあわせな気持ちになる。
どうか、長岡もそうであると良いな。
「はい。
じゃあ、いってきます」
重い腰を上げるついでに、汚れていそうな床をさっとウェットティッシュで拭き消臭剤代わりにファブリックミストを撒いた。
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