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第671話
紅茶のパックを破ってお湯を注ぐとやわらかな良いにおいがチーズケーキの甘いにおいと混じり、三条の口角はより上がる。
あたたかな家庭のにおいに優登のあたたかさが混じっている。
それに砂糖と氷を溶かすとおかわりのチーズケーキケーキと共に炬燵に戻った。
さっきまで自分が居た場所で綾登がおやつを食べていて座れない。
美味しそうにパンに齧り付いているし、別にその場所にこだわりはないので、その隣に座った。
そして、すっかり氷の溶け飲み頃になった紅茶で喉を潤しながら小さな頭を眺める。
随分と大きくなったが、両親共に細身だ。
自分もそうだが優登も線が細く食べても中々身に付かない。
綾登も大きくなると細くなってしまうのか。
ぷくぷくの頬は萎んでしまうのか。
もったいねぇ…
今の内に沢山触っとこ
写真も
優登もでかくなってきたしな
成長は楽しみだが少し寂しい。
優登の時は自分もまだ幼く、あまりその成長を嬉しいと思ったり寂しいと思う事はなかった。
だが、今は優登のお菓子作りの腕がメキメキ上達しているのが嬉しい。
学校に行けない今の現状を必死に飲み込もうとしている姿が悲しい。
こういうのが、感慨深いっていうのだろうか。
それともブラコンか。
ま、後者なら次男には負けるが。
「こー」
「紅茶は俺の。
綾登は麦茶だろ。
いらないなら俺が飲んじゃおうかなー。
格好良いマグだし貰っちゃおー」
「!?」
楽しそうな弟達を眺めなから食べるチーズケーキはとても美味しい。
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