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第672話
優登の作るのお菓子を食べ、
綾登と昼寝をし、
勉強をして、
本を読んで、恋人と通話をする。
穏やかな時間だ。
だけど、世界はそうではない。
ロックダウン、オーバーシュート、集団感染、村八分、そんな言葉が溢れ出した。
多くのドラマは放送延期を決め、教育テレビも再放送をしはじめた。
震災で特別番組ばかりだった頃を覚えているが、その時ともまた違った異様な事態だ。
炬燵に入りながら読んでいた本を閉じるとカーペットに頬をくっ付ける。
長岡は忙しそうだ。
授業再開の目処がたたず、分散当校だ当面は休校だ、市や区ごとに学校の方針も違い、私立公立国立でまた代わるそれらを大人も子供もただ受け入れる事しか出来ない。
その渦中にいる長岡が心配でならない。
こんな時でもマメに連絡をくれ通話をしてくれるが、それが負担になってないか不安になる位には三条も気が滅入ってきていた。
勿論、長岡が三条が気に病む事をするとは思えない。
したいからする。
それは三条本人が1番よく理解しているが、それでも心配は拭え切れない。
長岡の健康を願わずにはいられない。
不要不急の外出を控えていて外の空気を吸えて居ないのも一因だろう。
太陽がしあわせ物質を与えてくれるのは本当らしい。
ひとつ息を吐くと、頭のスイッチを入れ換える。
駄目だ
そんなんばっか考えてたら精神衛生上、健康に良くない
続き読も
よしっと、あったかくなった頬を離してスピン代わりに挟んでいた指のページからまた本に視線を戻したその瞬間、腹がぐぅぅと大きな音を鳴らした。
…やっぱ、今度優登に作って貰うお菓子の事考えよ
腹減った…
今度こそしっかりとスピンを挟むと、スマホで美味しそうなお菓子の画像を漁りはじめた。
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