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第683話
昨日は祝日で長岡と沢山話をした。
その後も本を読んだりと少し夜更かしをしてしまった。
ついキリが良いところまでと思い翌日眠くなると分かっていてもやめられない。
眠い目を擦りながら階段を降りるとリビングには朝から元気な末っ子がテレビの前でピョンピ ョンと頭を揺らしていた。
そーと近付くも気が付かない。
子供番組は本当に子供を夢中にさせる。
目が合った母親は知らないふりをしてくれるらしい。
協力的で助かる。
「あーやと」
「きゃぁ!」
末っ子をひょいと抱えるとくりくりした目を覗き込んだ。
澄んでいて磯れがなく綺麗な目。
その目に写る長男は優しく微笑む。
「誕生日、おめでとう」
4月30日は綾登の1歳の誕生日。
ただただ楽しそうに笑う綾登が産まれてきてくれて今日で1年。
こんな時でも、どんな時でも誕生日は素敵な日だ。
素晴らしい日。
そうでなければいけない。
小さな弟の、家族にとって1年で1度の大切な日。
三条にとっても大切な日だ。
「綾登、大好きだぞ」
「あー!」
大きく口を開けて笑えば、兄が笑う。
それを知っているのかとびきりの笑顔を向ける綾登をきつく抱き締めた。
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