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第686話
「あ!」
「オルゴールとおんなじ猫。
綾登のお友達」
真っ赤なリボンを首に付けた黒猫は、綾登が生れた時に贈ったオルゴールとクリスマスプレゼントのブランケットに描かれたイラストと同じキャラクター。
長男が生まれるずっと前のアニメーション映画だが、いまだ多くの人に愛される作品の主人公の友達。
小さな怪獣は、嬉しそうに目を輝かせ尻尾を掴んだ。
「あぶ」
すぐに口に運んでしまう綾登が怪我をしない様にやわらかいそれは、早速しゃぶられている。
購入してすぐに洗っておいて良かった。
それに、気に入ってくれたようだ。
「綾登、可愛いね。
ありがとうって言えるかな」
「あーっ!」
「うん。
どういたしまして」
「どういたしまして。
あんまり食ってやるな。
友達だろ」
「へへー」
嬉しそうに笑う顔が見られただけで兄達は十分だ。
黒猫は不吉だなんて言われるが、夜でも目が見える事から福猫とも言われる。
魔除けの意味を持ち、またあの有名な名前のまだない猫も黒かったらしい。
そんな愛される美しい色を持った友人なら、きっと弟の良い友人になってくれる筈。
どんな時も寄り添ってくれる頼もしい友達。
あの小さな魔女の様に自分の足で立つ事が出来た時、このぬいぐるみも必要なくなるだろう。
その時までしっかりと弟を守ってくれと2人の兄は願いを込めた。
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