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第696話
綺麗にしたテントの中に、ブランケットを敷いてぬいぐるみも入れた。
遊べると分かる様にしておけば後は好きに使うだろう。
「綾登、遊んで良いって」
テントをじっと見てからハイハイでゆっ くりと近付いていく。
中にあるブランケットやぬいぐるみ、おもちゃを見てうにゃうにゃと何かを喋った。
入ってみば楽しいと分かって貰う為に兄が入ると後を追って入ってくる。
「おー、久し振りに入ると狭いな」
「うー」
「でも狭いところって良いよな」
その隣でベビーベッドの移動をさせていた父は嬉しそうな顔をしていた。
次男そっくりの優しそうな顔より、兄に興味津々の末っ子は誕生日プレゼントのぬいぐるみを兄に押し付けまた何かを話す。
そこへ次男が顔を出すも、兄と弟の姿がないと不審な顔をした。
「綾登、かくれんぼ。
しーだぞ」
悪戯気に笑う兄とテントの中でじっとしてるとどんどん足音が近付いてくる。
ドキドキ、わくわく、心が弾む。
テントの入り口から見える足にとうとう綾登が笑いだした。
「兄ちゃん?
綾登?」
「見付かったか」
「へへぇ」
「なに、かくれんぼか?
てか、テントどうしたの」
「父さんが、優登と綾登が楽しめるようにって。
まぁ綾登のおもちゃ詰めちゃったけどな」
「俺の事いくつだと思ってんだよ」
そう言う優登の顔は満更でもなさそうだった。
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