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第702話

『へへ』 穏やかな表情に癒される。 恋人の笑顔はこんなにも力をくれるものなんだと、三条と付き合ってはじめて知った。 三条は本当にすごい存在だ。 家族の様で、それ以上。 それに尊敬出来るところが沢山ある。 教わる事も。 9歳も年下で守らなくてはと思う反面守られているとも感じる。 それが相思相愛ってやつなのか。 窓が開いているのか三条の髪がサラサラと揺れた。 髪が伸びていて邪魔そうだ。 セットもしないから尚更。 でも、それが三条らしい。 『正宗さん』 「ん?」 『その毛布、気持ち良いですよね』 「遥登、すげぇ気に入ってるよな」 『あったかいし、気持ち良いですから』 ふわふわしてしっとりした手触りの毛布は三条のお気に入りで、これに包んで抱き締めると本当に嬉しそうな顔をする。 長岡も気持ちの良い手触りと三条の清潔なにおいに、そうするのが好きだ。 骨に皮が張り付いた様な三条の身体が冷えない様にと買った物だが、今はその本人に使ってもらえない。 それに、もうあたたかくなってきた。 いくら梅雨で気温が下がっても流石に毛布は必要ないだろう。 そろそろ洗濯をして片付けなければ。 でも、洗濯をしたくない。 まだ微かに残っていそうな三条のにおいが消えてしまう。 勿体ない。 『それに、正宗さんのにおいがするじゃないですか。 それが好きなんです』 「そういう事を言うから悪い大人に捕まえられんだろ」 『俺にとっては悪い大人じゃありませんよ』 ふわふわ笑う三条に性欲がグッと芽を出す。 こんな真っ昼間からオナニーさせる訳にもいかねぇし我慢だ 家族だって、いつ部屋に来るか分かんねぇ あー、覚えたての餓鬼かよ くっそ 毛布のやわらかさとは正反対に邪な考えばかりが浮かんでいく。 ストレスもあるのか三条を滅茶苦茶に愛したい。 犯して、首輪を着けてベッドに繋げて…そんな事ばかり考えてしまっていた。 「悪いっつぅより、屑だな…」 『そんな事はありませんよ。 俺の大切な人です。 正宗さんでも、そんな風に言ったら俺が悲しいです』 前言撤回。 一生大切にしたい。 する。 なんだこの可愛い男は。

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