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第714話

「世界で1番愛してる」 『なんか…正宗さん変です。 そんな歯の浮くような台詞……』 「……ふは、はっ」 『っ!!』 分かる。 そうだよな。 歯の浮くような甘い台詞だよな。 フランス文学かっての。 とうとう溢れてしまった。 やっぱりからかってたんだと理解した三条は顔を真っ赤にしたまま眉を僅かに寄せた。 もう少しその顔を見ていたかったが、可愛くてつい。 「すげぇ可愛いから……つい。 悪かったよ」 『どうせ、正宗さんからみたらまだ子供ですよ。 でも…この3ヶ月は歳の差だって8歳まで縮まるし、折角同じ20代になれたのに……」 「悪かったって。 どうしたら許してくれんだ?」 「別に…怒ってはいません…。 でも……」 ソファに寄り掛かっていた背中を離し前のめりになる。 言い訳だが、ころころ変わる豊かな表情が本当に好きなんだ。 笑った顔が1番似合ってるけど、膨れた顔も泣いた顔も恥ずかしがってる顔も困った顔も好きだ。 それは、嘘じゃねぇよ。 『…会えたら、沢山話を聴いてください』 「うん。 聴く」 『それから、コーヒーも一緒に飲んでください』 「うん。 他には?」 『……また、一緒に寝たいです』 「うん。 全部しような」 目尻を染めて頷く可愛い恋人に直接会えるのはいつになるか分からないが、それでも世界で1番愛している事は変わらない。 遥登以上に大切な人はいない。 今日を一緒に過ごせて本当に嬉しいよ。 愛してる。 誕生日おめでとう、遥登。

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