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第716話
ベッドに横になりシェードランプを消した。
真っ暗闇の中、三条の嬉しそうな顔ばかりが思い浮かぶ。
いつも笑っている様な顔をしているが、本当に笑っている顔は此方までとてもしあわせな気持ちにしてくれる。
嬉しい気持ちは遺伝すると思い知らされ在学中はそれを隠すのが大変だった。
そんな三条の誕生日を今年も祝えて本当に良かった。
本当に。
つぅか、遥登も20歳か
早ぇな
頭の中の恋人につられて口角が上り、春の日向の様なあたたかなものが身体を包む。
それを長岡はなにか知っている。
名前は知らないが、三条と一緒にいるといつも感じるそれ。
人を強くも弱くもさせる。
だけど、それで弱っていたら三条に失礼だろ。
折角目標だと言って貰えているのだから。
はじめての会ったは義務教育終えたばっかの15歳で、惹かれて…16の年端も行かねぇ子供に手ぇ出して……
我ながら大分屑だよな
そう苦く笑えば三条はふわふわ笑うが、こんな関係になれるならもっと大切にしておけば良かったとばかり思う。
『それがあっての今じゃないですか。
嫌な記憶ではないですよ』
『俺、先生になりたいです』
『正宗さん、大好きです』
あんなに小さな子供だったのに背丈だけでなく大きくなり、夢を見据え真っ直ぐ突き進む格好良い恋人になった。
最愛はどこまでも気高くて美しい。
誇りだと、胸を張って言える。
自慢の教え子で、自慢の恋人だ。
寝室に置かれた本棚の腕時計やA組から貰ったネクタイが置かれた一角を見てから目を閉じた。
早く会いてぇな
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