717 / 1502
第717話
キャラクターを用いた帽子を被った末っ子は、弟という事を差し引いても可愛い。
誕生日プレゼントを選んでいる時に見付けて一緒に注文しておいたのだが、外出は控える様に言われていて暫くは室内で被っていた。
だが、今日は少しだけ庭に出るのではじめて外で使える。
何枚か写真に収めると行こうかと抱き上げた。
「この帽子にして良かった。
すげぇ似合ってる」
「へへぇ」
「祖母ちゃんから貰ったら砂場セットは自分で持つんだろ。
そしたら、みっちゃんに遊んできますって」
手を振りながら吐き出し窓のすぐ脇にケツを着いた。
サッシの所に座っても良かったのだが、レジャーシートを敷き外に座った方が風が気持ち良い。
たった数メートル。
でも、“たった”ではない距離だ。
風や太陽光を直接感じられる大きな距離。
存分に自然を身体に浴びる。
ぽかぽかとあたたかくて風が気持ち良い。
「うっ、あ」
「どうした?」
「お、綾登格好良いな」
「あー!」
優登は野菜の苗を植える準備を調えバケツに水を汲んできた優登は、帽子の上から頭を撫でた。
次男もいつもより元気そうに見えるのは天然の光に照らされているからだろう。
自宅の庭で気分転換でもしないと、若い身体は動き足りない。
体育どころか学校が休みに加え、不用不急の外出はするなと言われているのを素直に守っているのだから当然だ。
身体が鈍っている。
それに、土や緑に触れ合うのは心の健康にも良い。
美味しい野菜も実れば一石三鳥だ。
ともだちにシェアしよう!