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第728話

『乳首、自分で弄っても良いぞ。 ゆっくり回りをなぞってから爪で掻くの気持ち良いだろ』 「は、い」 服の中に手を入れ、ぷくっと膨れている乳首に触れた。 恋人の言葉通り乳輪をなぞり焦らしていく。 長岡の指の動きを思い出してスレスレの所をなぞった。 薄い布の上から触れている様にもどかしい。 だけど、気持ち良い。 「…っ、」 『こーえ』 恨めしそうに恋人を見ると楽しそうに此方を見ている。 余裕綽綽な笑顔に経験値の違いを見せ付けられるが、どうせ長岡には敵わない。 人を愛する事も、キスもセックスも恋人から教わった。 そんな人に勝るなんて無謀だ。 頭では解っている。 解っているが、悔しいだろ。 こんなに恋人で一杯いっぱいなのに、長岡はそうじゃないなんて寂しい。 もっと、もっと、自分でいっぱいにしたいと思うのは我が儘か。 「正宗さん、も……俺の事、考えてください…」 カメラの向こうの恋人は一瞬驚いた。 たった一瞬の内にその目が細められ動いたせいで切ったばかりの前髪が一房溢れる。 そんな恋人を見る目には、あの日と同じ色が浮かんでいた。 『遥登の事しか考えらんねぇよ』 会えていたらキスされていただろう。 簡単に想像出来る恋人の癖がとても恋しい。 あの噛み付かれる様なキスが好きだ。 優しく唇を食まれるのも、唇を舐められるのも。 恋人とのキスが好きだ。 無意識に唇を舐めた三条に、長岡もそれを悟った。 唇を触れ合わせたい。 舌を絡めたい。 唾液を交換したい。 今は出来ないそれに2人の性欲が加速する。 『ほら、乳首弄る手止まってる。 やらしい姿見せてくれ』 「ん…はい、」 再度動き始めた胸部に長岡の笑みが深くなる。

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