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第730話

乳首の刺激だけで目はとろんと蕩け、あの日と同じ色を浮かべている。 マゾヒスト。 被虐性愛。 こんな破廉恥なのが良い子な筈ないのに長岡は1つひとつ褒めてくれる。 甘やかされ、セックスの快感に思考も上手く働かない。 “いつも”の事だ。 『遥登、ゆっくりパンツの上からちんこ擦ってみ』 おずおずと胸を弄っていた手を片方下に伸ばすと、そこには既に膨らみ始めていた。 言われた通りゆっくりと擦って刺激する。 「……っ」 『そうだ。 ゆっくり』 長岡の声が頭の中で溶けていく。 形をなぞる様に擦り、精液が沢山溜まる様に玉も擦る。 自分の手なのに恋人に見られているだけで気持ち良さが格段に違う。 『擦るだけだぞ』 「擦るだけ…」 『焦れた後の飯はいつもより美味いだろ』 そうだ。 腹が減ってペコペコになった時の飯はいつもより美味い。 セックスもそうだ。 焦れに焦らされ、漸く与えられた長岡はとても甘くてとても甘美で、とても気持ち良い。 口の中が甘くなる。 あの味を求めている。 「まさ、むねさん、」 『ん? どうした』 「きも、ち…」 口から衝いてでた言葉は付き合うより前に教えられた淫らなもの。 『そうか。 ちゃんと言えて偉いな。 もっときもちくなろうな』 三条は手を止めることなく頷いた。

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