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第736話

色気を振り撒く恋人は満足そうに目を細めた。 そのいやらしい事といったらない。 生唾を飲込み、どこかぼーっとした目で見詰める合うだけで息が上がっていった。 『ローター、近くにあるか』 「はい…」 『舐めて濡らしたら、まずは乳首に当てようか』 やっぱり、そう簡単に陰茎を触らせてはくれない。 もどかしい。 陰茎を扱きたい。 射精したい。 その為に素直に従う。 ……決して、俺がえっちな訳ではない……………多分。 『今から乳首に当てるローター舐める気分は?』 「……緊張、します」 『ふぅん』 ぺろっと丸い先端に舌をくっ付ける。 濡らすだけだ。 いやらしい意味なんてない。 ない…筈なのに、画面越しに此方を見詰める恋人の目に腰がもぞもぞしてしまう。 だって、目が。 目がギラギラしていて、食べられたいと心の底から我が儘が湧き出てくる。 肉食動物みたいな目が被虐心を煽る。 なんて扇情的だ。 『やぁらしい舐め方になったけど、どうした。 “なに”考えてんだ』 「正宗さんのこと……正宗さんと、やらしいことするの…………考えて、ます」 『そういうところだって言ってんだろ』 「正宗さんも、俺だけ……考えてください……」 『考えてる。 遥登だけだ』 恋人を疑っている訳ではない。 溢れる程与えられる愛情もきちんも伝わってきている。 だけど、改めて口にされると嬉しい。 安心する。 『可愛くお強請り出来たしローター使いな』 早く快感が欲しいと震える手でローターを掴むと、使いますと声をかけてからスイッチを入れた。 ヴヴ…と羽音を近付けるだけで乳首は早くはやくと勃ち上がる。 それにくっつければ待ってましたとばかりに腰に響いた。 「ぁ…っ」 『こーえ。 唇切れるから噛むなよ。 我慢出来なかったらタオルかなんか噛んどけ』 羞恥と快楽でぼんやりする視界で入浴後に使ったタオルに手を伸した。 髪を拭うのに受かったので湿っているが、それで声が少しでも抑えられるならそれで良い。

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