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第752話

三条は、そうだと言ってから小さく笑った。 「正宗さんが蓮とかだと源氏名みたいですよね」 『源氏名って…』 「いつだったかな、未知子ちゃんも言ってましたよ。 その顔で正宗って名前のギャップが良いって。 俺も、それには激しく同意します」 『そんな事言ってたのかよ』 こんな今風で綺麗な顔立ちの長岡。 顔だけ見たら、とても公務員には見えない。 ビジュアルで仕事だって出来そうだ。 と言うより、お金を払ってでも写真が欲しい。 『この顔のどこが良いんだか』 そんなの愚問だ。 「俺は、全部好きですよ。 パーツ1つひとつも綺麗で、配置のバランスが最高です。 顔立ちも綺麗で爽やかです。 あと、髪色も自分に似合うのを分かってますよね。 俺的には、なんといっても顎のラインがすごく好き…で……」 ハッとした瞬間にはもう遅かった。 肘に立てた腕で顎を支えていた長岡はニヤニヤと此方を見ている。 『へぇ。 そんなに俺の顔好きなのか』 「……それは…、はい…」 「顎のラインかぁ。 太らねぇようにしねぇとな」 眉を下げる事しか出来ない。 だけど、骨格ごと好きなのは本当だ。 長岡も三条と同じく痩身だ。 どちらかと言えば、細くしなやかな身体に見合った華奢な骨格な方なのかもしれない。 でも、節の目立つ指や綺麗に浮き出た鎖骨、豆骨、顎のラインは男を感じさせる。 細くとも男だと分かる骨格ごと好き、なんてどれほどぞっこんなんだろう。

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