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第759話
「お世辞ばっか上手くなって、人誑しまくってんじゃねぇだろうな。
近所の人達なんてイチコロだろ」
『誑してませんって…。
それに、今は殆んど外に出てませんしご近所さんにも会ってませんよ』
「悪い。
遥登達のお陰で、俺達は外で仕事出来んだ」
『悪い事なんてないですよ。
正宗さんの分は俺が外出しませんから安心してください。
それにこういうのも半分にした方が楽ですから、気にしないでください』
「こんな事まで半分にしてくれんのか。
ありがとな」
『へへっ、恋人の特権ですよ』
優しい言葉が弱りそうな心に沁みていく。
ありがとう。
いくら感謝してもしきれない。
三条の笑顔に心が軽くなる。
「会える様になったら目一杯甘やかすから楽しみにしとけ。
それも恋人の特権だろ」
『やった!』
ジュージューと野菜の炒められる甘いにおいがしてきたら中華麺を2つ投入した。
三条の顔を見ていると食欲が沸いてくる。
食べ過ぎて誉めて貰った顎のラインがダレるのも中年太りになるのも避けたいが近頃の食生活を思い返してみれば許されるだろう。
麺をひっくり返し、酒を回しかけたら蓋をして蒸し焼きに。
蒸せば麺は解れやすくなり野菜にも火が通る。
1人の飯なんてそんなもんだ。
『一緒に昼寝して、正宗さんの作ってくれた食事も楽しみです』
「何でもしてやるからな。
目玉焼きだっていくつでも焼いてやる」
『本当ですか!
楽しみです!』
フライパンからの音を聞きながらも三条との話に花を咲かせた。
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