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第766話

空になった缶を軽く濯ぎ、缶のゴミ箱へ放った。 ペースは一定で、まったく顔色変えねぇって結構飲めそうだよな しかも食うしな 一緒に飲める様になんの楽しみだ 換気扇の下で飲みながら焼き肉とかしてぇな おかわりをしてもケロッとしていた三条は梅酒だからと言っていたが、肴らしい肴もなく飲んだのだからアルコールが回るのだって早いだろうに。 若いってすげぇ 作業台にケツをつけ寄り掛かった。 耳に馴染んだ声は、通話を切った今も身体を包んでくれる。 それにしても、抱き締めてなんて当たり前じゃねぇか 変なとこ遠慮して寂しいだろ 当たり前だ。 長岡だって抱き締めたい。 抱き締めたいに決まっている。 それを我が儘だなんて思わないで欲しい。 甘える事をもっと覚えて欲しい。 三条が訪れなくなって冷たさの増した部屋にも夏が訪れようとしている。 それを一緒に感じられない悲しみや寂しさ、怒りだってある。 他人に興味のない長岡だってそう思う。 感受性豊かな三条なら殊更だ。 それを全部一人で抱えるなんてしなくて良いんだと覚えてくれ。 良い子にならないでくれ。 ストレスも気になって頻繁に連絡をしているが心配なものは心配だ。 まだ冷たさを残す空気を吸い込みゆっくりと吐き出す。 今日は俺の我が儘で付き合って貰ったけど、遥登からも連絡してきて欲しいんだよな ポケットから取り出したスマホで、何にもなくても連絡しておいでと飛ばした。

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