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第767話

更に2週間が過ぎ首都圏の宣言も解除された。 これで全国の解除は解けたが、だからと言って気を緩めるて良い訳ではない。 だけど、今日から優登は学校が再開される。 大人達から見ればたったそれだけの事かも知れないがそれだけの事ではない。 なんだか少しだけ自由になれた気分がする。 「送る?」 「歩く!」 そりゃそうか。 折角1ヶ月の自粛が明けたんだから、存分に外の空気を浴びたいだろう。 それに、友人と直接話すのは楽しい。 「分かった。 気を付けてな」 「いってきます!」 スニーカーに足を突込みとんとんっと土間を蹴るとにっと笑って、だけどそれをマスクで隠して玄関を開けた。 なんだかいつもより明るく見えるのは気のせいじゃないだろう。 じゃ!と手を振り元気に出ていった。 小中学校、高校の対面授業は再開だが、三条の通う大学は学期頭にも説明があった通り前期はオンライン授業のまま。 あの広い校内それも敷地全体施設の消毒、校内での接触を避ける、そして必要以上に公共移動手段を圧迫させない為にもその方が良いのだろう。 三条もその方が気持ちが楽だ。 「うーうっ!」 「一緒にご飯食べような」 「あー」 リビングに戻ると、母親の膝の上でぐたーっとしていた末っ子は次は自分の番だとばかりに兄を呼んだ。 今日は延期になっていた予防接種があるので機嫌が良いに越したことはない。 送迎を頼まれているので、三条もその方が良い。

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