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第771話

帰ってきてから速攻で部屋に戻り授業を受け、もう午後だ。 座りっぱなしでケツが痛い。 ぐーっと伸びをしてから部屋を出た。 そろそろ末っ子の機嫌もなおっただろう。 テントの中で遊ぼうか、それともパンパンマンでも観ようか。 漸く授業も終わって階下の弟へ声をかけた、はずだった。 「綾登、遊ぼう」 「寝ちゃった」 「そっか…」 甘えたを爆発させた末っ子は母の服をしっかりと握りながら、すやすやとお昼寝中。 ぷくぷくの頬を潰して気持ち良さそうに寝息をたてていた。 ソファに深く腰を下ろしドラマの再放送を眺める。 だけど、さっきから小さな手帳が気になっている。 背凭れから背中を離し母親に声をかけた。 「見て良い?」 「良いよ。 でも、面白くもなんともないよ」 母子手帳をパラパラと捲り、丁寧に書き込まれた文字を目で撫でる。 色んな種類の注射の名前に、成長記録、生まれた時間まで細かく書かれていた。 「細かいね」 「それ位しかしてあげられないし、それを持っていけば誰が病院に運んでも大丈夫な様にしとかないとお母さんが不安でね。 性格なの」 こうやって時間をかけてもらい育ったのだと思うと、ケツがむずむずする。 親が与えられるそれに対して反抗する歳は過ぎた。 だが、まだそれが照れくさい。

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