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第779話

バスタオルを被りながら部屋に戻りベッドに沈むとスマホを弄る。 ベッドとホカホカの身体が一体化しそうだが、長岡の手が気になる。 もう部屋に着いた頃だろう。 『今日は会えて嬉しかったです。 来てくれて、ありがとうございました。 手の傷が心配なので、きちんと消毒をしてください。 絶対です』 長岡なら少し皮が剥けただけだと言いかねない。 少しだけだとしても心配な物は心配だ。 きっと、あの傷は長岡は自分に触れる事を我慢して付いたんだ。 触れないように手を握り締めた。 長岡は、そういう人だ。 顔をシーツに埋めて返事を待つ。 本当に優しい人だよな 優し過ぎる でも、俺に対するのと同じだけ自分の事も大切にして欲しい 傷付いたら俺も悲しいのに どんな理由であっても大切な人が傷付くのは嫌だ。 ぽふっと枕に顔をくっ付け既読の付かない画面を眺める。 あたたまった身体はベッドの気持ち良さに抗えない。 うとうとしてきた頃、漸く返事が届いた。 『きちんとシャワー浴びて消毒した』 証拠写真と手のひらの写真が続けて送られてきた。 大きな手のひら、その中指の爪が刺さったであろう箇所には絆創膏まで貼られている。 良かった それにして、大きい手だよな 三条も最近は無意識の内に肩に爪をたててしまうのであまり人の事は言えないが、今日の逢引きのお陰で暫くは傷を付けなくても大丈夫そうだ。 『遥登こそ風呂に浸かってあったまったか?』 『頭までつかりました』 『溺れんなよ』 了承のスタンプを送り、ふと勉強机の上をカメラに収める。 まだ今年は言っていなかった。 『今年の分も食べきりました。 ご馳走さまでした』 ホワイトデーに貰った飴玉の詰まった瓶をメッセージに添えた。

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