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第780話
気持ち良さそうに太陽光を浴びすくすくと育つほうれん草に綾登は興味津々だ。
「こっこ」
「うん。
ほうれん草、大きくなってきたな」
蒸しパンにして欲しいのか次男に知らせるが、収穫するにはまだ小さい。
間引き分は味噌汁にし、減らした分だけまた少し大きくなった。
だが、小さい物は小さい。
この天気が続いてもあと2週間は育てたい。
あにゃあにゃと何かを話して綾登は寝転がり宿題をする背中によじ登る。
「もっとおっきくなったらな。
天気も良いしあったかいしすぐおっきくなるから焦んなよ」
黒猫の友達を見て、並べた時にほうれん草の方が大きくなったらと言うと口を尖らせた。
ふんふんっと身体を揺するので腕の中に捕まえ腹を擽る。
きゃぁぁと可愛らしい声が家いっぱいに響き明るくなっていく。
「へへっ、へへっ」
「降参するか?」
「やぁ」
ぷくっとした頬を押せば、ぷっとつぶれる。
「なにしてんの?」
「綾登と遊んでる」
「うーう!」
「綾登で、だな」
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