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第793話
スプーン使いご飯をすくうと半分は反対側の手も使いながら口に運んだ。
大きな一口は小さな口をいっぱいにさせ、ぷくぷくした頬がぱんぱんになった。
「兄ちゃんの食い方にそっくり」
「優登もだぞ」
兄弟どちらも美味しい物を食べている時は、頬袋をぱんぱんにして美味しい!という顔をする。
三男も同じく美味しそうな顔で頬袋を満たしていた。
「んま、ね」
「お魚美味しいね。
おかわりいる?」
こくこくと頷きお皿から手を離した。
「はい、どうぞ」
「あー、」
ありがとうと言えない口の代わりに、兄達を真似して頭を下げる。
小さいながらに兄や両親を見ているのだとよく分かる。
これは背筋を伸ばさなくてはいけない気持ちになるが、思春期真っ盛りには少しめんどくさい。
そんな次男すら可愛いと長男は箸を運ぶ手を止めてにこにこと眺めている。
長岡も守ってくれている家族だ。
大切な家族。
みんなが笑って食卓を囲める事が今は素直に嬉しい。
「うーう」
「ん?
どうした」
「あー」
「お、おっきい口だな」
兄にも褒められたくてアピールする姿がいじらしい。
隣で西京焼きを食べていた次男もご飯を掻き込みはじめ、ふふっと笑う。
「優登もでっかい口だな」
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