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第798話
『これも格好良いです』
「すげぇ褒めてくれんな」
『すごい格好良いですから』
どんな写真を見せても格好良いと言うばかり。
目をキラッキラさせているのでお愛想の類いではないのは解るが、こうも優等生の語彙力を下げるものでもないと思う。
あと、今の自分より若い時の自分を褒められるのは、それはそれでなんか癪だ。
嬉しそうな顔させてんのも自分だが、今の自分ではない。
そんな可愛い顔を向けるのは自分だけが良いなんて子供の様だ。
それも自分なんだけどな。
解ってる。
解っているがムカ付く。
「欲しい?」
『え…』
「写真。
気に入ったのやるよ」
『本当、に…?
良いんですか』
「おかずにしてくれんならな」
ふにゃふにゃしていた三条は、途端にかぁっと顔を赤くし手で口元を隠した。
この瞬間の纏う空気の色っぽさがまた男心を擽る。
ムラッとくるんだよな。
『………お、かずに、しても…良いんですか…?』
「俺で抜いてくれんの嬉しいよ。
あ、でも、抜く時はまた教えてくれよ」
ちらちらとカメラを見てから小さく頷き照れを隠すように前髪を伸ばすように弄った。
『おかずに、します』
「うん。
何を?」
『え、と…正宗さんの写真を、……おかずにします』
「良いよ。
どれが良い?」
『…今のも、欲しいです』
残り少ない梅酒に伸ばした手が止まる。
『最近のも、欲しいです。
今が1番……好き』
どうやら杞憂だったらしい。
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