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第803話
今日も朝から末っ子は元気だ。
幼い声がころころと笑っている。
「こーえ」
「食べたい?」
「ん!」
すくすくと育ったほうれん草はもう食べ頃だ。
お強請りする弟は一所懸命アピールする。
自分の弟という事を差し引いても可愛い。
次男はにぃーっと頬を横に伸ばした。
「うどんに入れて?」
「やっ」
次男も、どんどん喋られる様になっていく弟が可愛くてしかたがない。
そうして思春期を忘れこうしてつい構ってしまう。
いつもなら助け船を出してくれる長男も今はにこにこと見守るだけ。
くりくりした可愛らしい目で訴えてくるが兄は穏やかな顔で見ていた。
三条とっては、どちらも可愛い弟だ。
「食べたい人は手を上げてください」
「あっい!」
両手をばんざーいと上げるとバランスを崩して前に倒れた。
寸前の所で兄に抱き止められへへぇと笑う。
「あぶね」
「んーま」
「しかたねぇな。
美味しそうなの引っこ抜くか」
「はう!」
「うん。
楽しみだな」
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