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第815話

『色気のねぇ水着だな』 「ゲームですって…」 島で売っている水着はマリンスーツ。 露出が少なく男女共用のデザイン。 そもそもキャラクターは肌着を着ていて最小限の露出しかしない。 長岡のキャラクターだって本人は絶対に着ないであろうマリンスーツを着ている。 本物はどんな水着を着るんだろう。 『でも、遥登日焼けすると赤くなるし心配だから良いか』 ザボンッと飛び込む姿はまさに夏。 今年は特に羨ましく思える。 気持ち良さそうに泳ぐ自分の分身は恋人の隣でにこにこと笑っていた。 気泡を見付け、潜り、海の幸を収集する。 そんな事は二の次だ。 今は恋人との海の時間を楽しまなければ勿体ない。 ざぶざぶと泳いだり潜ったり。 なんて楽しいんだろう。 『来年は海行くか』 画面から顔を離すとやわらかく微笑む長岡と目が合った。 『ぶん投げてやる』 子供みたい、にっと笑う恋人が愛おしくてたまらない。 「はいっ!」 『水着買わねぇと』 「正宗さんの水着姿楽しみです。 写真、撮っても良いですか」 『キスしてくれたらな』 「……します」 写真は関係なく、キスをしたい。 しっかりと頷いた三条に長岡は言葉を続ける。 『部屋でやぁらしい事もしような』 「…………はい」 今、会えない分沢山したい。 やっぱり大学生の精力はすげぇなと笑う長岡だってそんな自分を抱き潰すだけ体力があって衰えていない。

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