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第822話
「いただきますっ」
口に入れるとしっとりはしたケーキがほろっと崩れ口一杯にレモンの爽やかな香りが広がった。
しっかり噛むと細かく切って混ぜこんだレモンの皮がより爽やかなアクセントを置いていて、ホワイトチョコレートが混ぜ困れているのにクドくない。
甘さ控え目に作ってくれるので本当に1本でも食べられる。
「んー、まっ」
「ガチで?」
「ガチで」
「うん、美味しい。
優登上手ね」
「ありがと。
残ってたら…、冷凍しとくから食べなよ」
思春期の息子の精一杯に優しく微笑みながら、母はまた一口口にした。
こうやって楽しく過ごせるのは弟達のお陰だ。
真ん丸いお尻を見ながらまた一口食べる。
早く綾登も食える様になれば良いのにな
優登の作るお菓子、絶対好きだろ
今でさえ蒸しパンを大きな口で齧り付き、ぷくぷくの頬をぱんっぱんして頬張る。
次男の作るお菓子はなんだって美味い。
それをみんなで食べられたら、もっと美味しいだろうな。
いつかを想像しわくわくする。
冷たいコーヒーを飲み爽やかな口の中は苦くてなったが苦いコーヒーとも相性が良い。
お互いがお互いの良いところを引き出している。
すっきりしていてまた1口目の様な気持ちで次を口にいれた。
やっぱり美味しい。
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