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第831話
なんだか暑くて目を覚ますと腹を枕にして三男が寝ていた。
綾登か
よくこんな体制で寝られるな
子供体温が腹をあたため暑かったらしい。
バスタオルがかけられているのは母親だろう。
顔にかかる前髪を払いテレビの隅に映る時間を確認するとまた弟に視線を戻した。
三男は、ぷにぷにの頬を潰して寝ている。
起こしてしまわない様に可愛い頭を撫でた。
細い髪がサラサラしていて触り心地が良い。
「あ、起きた?」
「うん。
寝てた」
「お腹いっぱいだと眠くなるよね」
洗濯籠を抱えリビングにやって来た母はまだ熟睡中の三男を見て笑う。
「遥登が寝たら綾登もすぐに寝たの。
重い?
退けようか」
「大丈夫。
このまま寝かせてて良いよ。
あ、スマホだけ取って貰って良い?」
はい、と手渡されたそれに感謝の言葉を返すと寝ている弟を起こしてしまわない様に通話口を押さえつつカメラに収めた。
洗濯物を畳む母親をぼーっと眺め、自宅を堪能する。
大学に行っていたら感じる事の出来ないありふれた家庭のしあわせ。
今はそちらに目を向けた方がしあわせだ。
また目を閉じゆっくりとした時間に身を任せる。
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