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第836話

画面の隅に映る時間確認し、どれ程進められたのか見返した。 正宗さんの顔も見たいけど、正宗さんも忙しそうだしな 俺が邪魔する訳にはいかないよな 今日は、もう少しだけやるか レポート用紙に視線を滑らせ、頭の中で構成を確認しているとイヤホン越しに名前を呼ばれた。 『はーる』 「あ、はい」 『キリが良いなら少し休憩しねぇか? 2時間近くぶっ通しだろ』 「はいっ」 レポートは机の端に置き、交換するようにマグカップを手元に引き寄せた。 埃避けの蓋を外して喉を潤す。 フル回転させていた頭がいつもの早さに戻っていく瞬間、年相応の子供らしい顔をするのが長岡は好きだった。 やわらかくした視線が画面越しに注がれる。 『それにしても、すげぇ集中力だよな。 息してんのか?』 「してますよ。 流石に呼吸を忘れたりはしません…」 『遥登の集中力やべぇからな。 推薦の時の小論文指導の時とか、頭の回転と筆記の早さが見合ってなかったろ。 あれは忘れらんねぇよ』 懐かしい記憶だ。 毎日小論文指導を受け、同時進行で文化祭準備をこなしていた。 付きっきりでの指導の甲斐もあって学校推薦が合格した時は予定も聴かずに長岡に会いに行ったり、本当に…本当に毎日隣にいた。 「その節はお世話になりました。 お陰で大学生になれました」 『なんもしてやれてねぇよ。 全部、遥登の実力だ』 そうやって謙遜をする。 長岡はいつも自分がしてきた結果だと言ってくれる。 そう言われて嫌な訳ではない。 だが、本当に長岡のお陰だと思っているんだ。

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