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第843話

停まった場所は神社から少し離れた場所にあるコンビニの駐車場。 コンビニなら神社の近くにもあるし、その店舗 を長岡は知っている。 なのに何故だろう。 此処は目的地ではないのだろうか。 頭をぐるぐると回転させるが皆目検討もつかない。 「ちょっと買い物してくる。 欲しいのあるか」 「いえ…」 「マスク、濡れてねぇか」 「はい。 大丈夫です」 「分かった。 少し待っててな」 傘もささずコンビニへと駆けていく後姿さえサマになっていた。 やっぱり格好良い人はどの角度から見ても、どの瞬間を切り取っても格好良い。 水も滴る…を素でこなしてしまうんだ。 それにしても、いまだジクジクする下腹部が気になってしかたがない。 正宗さんのにおい、久し振りだしやばいな ……こっちも治まらないし 若い身体は恋人のにおいを喜び、更に2人きりになれた喜びに興奮したままだ。 いくら性的に抜いていないといっても、これは酷い。 中学生だってもっと健全だろ… 猿みたいだ 恥ずかしい… 窓に頭をくっ付けぼーっと外を眺めた。 雨粒が視界を薄ぼんやりとさせている。 巻き上げられる雨のにおいは車内では感じられないが、身体のどこかでそれを感じる。 パシャッと水を踏む音に意識を戻せば、丁度長岡がドアを開けるところだった。 「おかえりなさい」 「ん、ただいま。 次が目的地だからもう少しだけ待っててな」 「はい」 ガサガサとビニール袋を揺らして帰ってきた長岡はそれを助手席に置くとまた車を走らせた。

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