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第844話
次に停車したのはコンビニ近くの児童公園だ。
公園奥の広場に隣接した小さな駐車場。
最終目的地は此処なのだろうか。
ここの公園は保育園のお散歩にも来る児童公園で、秋になるとドングリが沢山実り市民プールも併設されていて夏から秋に楽しむのにはおすすめだ。
また近隣の年配者がプールの中を歩いたりするの利用されていて、そこそこに人の出入りがある。
だが、まさかこの雨の中で公園遊びなんて事はない。
プールだって閉館中。
人目がない場所なので此処へ来たのだろうか。
恋人はカーナビをAV出録にし薄ぼんやりと明かりを点した。
明日は晴れだと天気予報を読み上げる声が聴こえるが、いまだ勃起が治まらず恥ずかしくて落ち着かない。
その時だった。
足下が陰った。
「声、我慢出来るよな」
「え…」
「抜いてやる。
自分じゃ上手くすっきり出来ねぇんだろ。
そう言ってたしな」
リクライニングがおろされ、長岡は後部座席へと身を乗り上げてきた。
くりくりした目は驚きで真ん丸になり恋人から離せない。
「ま…正宗さん…」
ドキッとする顔に身体中の血液がアツくなる。
こんなの、たまらない。
「ま、待ってください……。
こんな所で…人に見られたら……、見られたら…」
「……此処、発展場なんだよ」
「え…」
発展場。
三条だって知っている。
知っているが此処は屋外だ。
そういうのは店─室内だけじゃないのか。
くりくりした目が真っ直ぐに長岡を見詰める。
暗がりでも分かる色を孕んだ目で。
「夜だけな。
今日は募集かかってなかったし、車も停まってねぇだろ。
弟と遊びに来るかもって考えたら言わない方が良かったんだろうけど、知らずに万一があんのも心配だしな」
「だからスマホ…」
「そう。
こんな所で誰かに出会したくねぇだろ。
確認してたんだよ」
こんな地方の田舎でも交流の場があるのか。
いや、田舎だからあるのか。
隠して生きるには情報が多過ぎる。
そして自由過ぎる。
それがこんな近くにあったなんて、驚いたのと同時にネットの広さを改めて知る。
「悪い。
知りたくなかったよな」
「いえ…、それに、昼間にしか来ませんから大丈夫です」
安心したような、でもどこかアンニュイな笑みを称えながらシートベルトをはずされた。
「少しだけな」
伸ばされた手を払う事なんて三条には出来ない。
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