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第845話

うんともすんも言えずにいる三条は、今し方購入した物を取り出され更に目を大きくした。 避妊具だ。 外箱を開け、中から1枚取り出し残りを三条の隣に放る。 打ち車内に響いてしまいそうな程、心臓が早鐘を打つ。 「直接って訳にもいかないから、少しだけ我慢してくれ」 閉められたベルトに指がかかる。 バックルを外し、ウエストボタンを外し、チャックをおろした。 その1つひとつの動きから目が離せない。 期待と緊張。 どっちもだ。 下着のウエストゴムに指をかけられ、開いた口は言葉もなくまた閉じられた。 「…っ」 会えなくても無毛に保たれたソコが見られてしまう。 はしたなく発情したソコを見られてしまう。 見られ…… 「コレじゃ痛てぇだろ」 「ぁ…っ」 “コレ”とガチガチに勃起した陰茎に触れられ、ゾクゾクッと快感が頭から爪先まで身体中を隈無く走った。 5ヶ月ぶりの恋人との直接的な性的触れ合い。 嬉しいに決まってる。 興奮するに決まってるだろ。 腕を掴むではなく、手首に触れるだけの細い手が本音を伝えている。 「声を殺そうとして口噛むな。 マスクずらしてタオル噛んどけ。 あとで確認するからな」 避妊具を傷付けないよう丁寧に開けられた。 テレホンセックスで散々使ったソレと同じ物だが失礼な話長岡が手にしているとよりいやらしく見えてしまう。 長岡のいやらしさを引き立てていて、…………もっと勃った。 ピトリと先に宛がわれスルスルと下りていくコンドーム。 自分のモノなんて排泄や入浴で見飽きたもの。 それなのに、長岡に避妊具を装着されただけでとても淫らなモノに思えてくるから不思議だ。 「ぁ……ぁ、…」 「キツかったら言ってくれよ。 遥登の膨張率良いからな」 にっと口端を上げた恋人の格好良い事と言ったらない。 とろんと惚けてしまいそうな頭で意識を戻す。 だって、此処は外だ。 暗がりで人気のない駐車場と言っても外には変わらない。 タオルを被り顔を隠すがあまり車体が揺れてはバレてしまう。 なるべく動かないようにしたいのに、長岡の大きな手が上下するだけで気持ち良い。 外なのに。 こんなのいけない事なのに。 ……だから、興奮するのだろうか。

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