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第863話

切り分けられたレアチーズケーキは綺麗な層になっていて、剥げる事もない。 成功だとにこにこした顔で優登は皿に移した。 「はー、うまそ」 「へへっ。 時間かかったけど綺麗に層になった」 もう昨日のストレスは発散出来たらしい。 再度それを思い出しソファと一体化する事はあるだろうが、そんなの三条も同じだ。 何度も反芻してしまう。 嫌な事なら尚更だ。 そうしたら、今度は散歩に誘おう。 自分がして貰ったように。 氷を沢山入れたマグに麦茶をなみなみと注ぐとチーズケーキの乗った皿を手にテーブルへと移動した。 途端、よたよたと末っ子がやって来る。 やっぱり美味しい物は分かるらしい。 「うーんっ!!」 「綾登はこっち。 ほら、ゼリー」 次男が差し出した容器を覗いて三男は目を輝かせた。 丸い製氷器で作られた寒天ゼリーの中には果物がころんと入っていてなんとも涼しげ。 缶詰の蜜柑と冷凍していた苺、ブルーベリーと透ける色も綺麗だ。 「綾登の分な」 「へへぇ」 末っ子はそれを見て長男の脚にくっ付きながら嬉しそうに笑う。 「一緒におやつ食べような」 「なっ!」 優登と笑いながらおやつを食べられ三条は本当に安心した。

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